診療放射線技師養成
小さな病変も見逃さない、生命のリスクの第一発見者。
診療放射線技師は、医師の指示のもと、X線撮影装置やCT・MRIといった画像診断装置を用いて、人体内部の様子を撮影し、病気の診断や治療に必要な画像を提供する医療技術者です。さらに、がん治療や予防医療などにも関わるため、高度な知識と技術が求められ、現代医療の発展にも貢献しています。病院や診療所といった医療機関だけでなく、医療機器メーカーの研究開発部門など活躍の場が広がっています。
01 検査に使う「放射線」は怖くない
放射線が物質を透過する性質を利用し、患者さんの身体を傷つけずに体内の構造を描出します。「放射線=被ばくが心配」と感じる人が多いかもしれませんが、検査に使う放射線量は人体に影響がないレベルであり、胸につけた計測器で被ばく量を常にチェックするので、安心して検査・治療にあたることができます。
02 検査から治療まで広い守備範囲
診療放射線技師の仕事は、X線撮影による検査だけにとどまらず、X線によるがん治療にも関わります。X線が透過しにくい骨に覆われた脳を撮影するときは、磁力を使うMRIで撮影し病変を発見。医療の高度化に対応し、検査から治療まで携わる、チーム医療の中で欠かせない存在です。
03 漫画・ドラマでも注目される人気の仕事
チーム医療の中で活躍する診療放射線技師を描いた漫画「ラジエーションハウス」。実在する診療放射線技師がモデルで、ドラマ・映画化もされました。原作漫画では本学の教員も監修を担当。医療の最前線にいるプロが携わることで生まれたリアルな描写が、多くの人に感動を与えています。
きっかけは幼少期の自身の経験 放射線を究めて人を救いたい
小倉 悠 (2年) 宮崎県/県立都城泉ヶ丘高等学校 出身
小学校の頃、左足を骨折する交通事故に遭い、その時に見たX線画像をきっかけに診療放射線技師を目指すようになりました。NBUの最先端の施設・設備や、学力優秀者への奨励金制度に惹かれ、指定校推薦で入学しました。がん細胞を縮小、消滅させる放射線治療に興味があり、今は、第2種放射線取扱主任者の取得を目指し、奮闘中です。趣味の料理を楽しみながら大学周辺で一人暮らしをしています。ボランティアサークルの活動を通じて、チャリティーイベントへ参加したり、学会の運営補助に携わったりと、充実した毎日を送っています。
幅広い教養を身につけるとともに、医療人として必要な基礎知識を学ぶ
人体の構造及び機能
放射線科学に必要な医学的基礎
保健医療福祉における放射線の科学及び技術
診療画像技術学・臨床画像学
キャリアデザイン
保健医療福祉における医学的知識と放射線科学の基礎及び技術について学ぶ
核医学検査技術学
放射線治療技術学
医療画像情報学
放射線安全管理学・医療安全管理学
画像診断装置の操作や安全に管理する知識および実践的な撮影技術について学ぶ
実践的な能力を身につける臨床実習
臨床実習・卒業研究を通して、実践的な医療機器の運用と医療産業人として活躍するための未来医療を考える
診療放射線学
3コース共通科目
放射線を学ぶ上での基礎知識を修得します。1895年のX線発見から始まり、原子構造の解明から、現在の放射線診断・治療に至る放射線科学の歴史や発展を学ぶことは、放射線についての知識を俯瞰的に捉えることにつながります。科学技術の発展と現代の社会問題に至る放射線の光と影を理解するための学びです。
骨や胸腹部、乳房などのX線撮影技術を学修します。診断に適した画像を提供するために、対象部位の解剖学的構造を理解し、X線画像からポジショニングの良否を判定する力を養います。X線造影検査における、検査目的や造影部位の解剖、検査法、手技、X線画像解剖、画像読影技術を学びます。
人体の構造や臓器の配置、機能を解剖学的に分析し、診断や治療のための情報を提供する能力を身につけます。X線CT、MRI、超音波検査などで得た画像を処理し、疾患の原因や進行状況、治療の選択肢を判断する診断技術も修得します。手術の成功率を高めるため体内構造の3D画像作成技術や治療計画作成も学びます。
治療計画や装置のセッティング、照射線量計算、器具の取り扱い、線量測定、装置の保証・管理などを修得します。がん治療を各論的に学び、放射線治療目的や照射術式に関する専門知識・技術を身につけます。高エネルギーX線、電子線による照射方法、陽子線・重粒子線治療について臨床例を確認しながら理解を深めます。
放射線のリスクと向き合い医療分野の安全管理を
教授 甲斐 倫明
現在の医療現場においては、X線・CT検査など、放射線を欠かすことができません。私は、放射線防護の基本となるリスク評価を行い、発がん数理モデルを構築するなど、放射線と安全性の問題に関する研究をしています。CT検査の線量評価と放射線防護を臨床現場に確立するためにWebの計算システム「WAZA-ARI」を開発し、CT検査の最適化に貢献しました。放射線のリスクを分析・予測し、正しい情報を届け、放射線との適切な向き合い方を伝えるため、日々邁進しています。
臨床経験を生かし医療従事者の負担軽減へ
講師 衞藤 路弘
医療現場では、デジタル化により業務の効率化が図られた反面、画像処理技術などの新たな業務が増え、マルチな才能が求められる時代になっています。実際に診療放射線技師として勤務した経験から、医療従事者の負担軽減が課題であると考えました。そこで、現在は、AI手法である姿勢推定モデルを放射線技術へ応用し、適正化されたX線撮影条件を提示するシステムを用いてX線撮影条件の自動設定や、X線検査時に生じる被ばくの低減、ワークフローの効率化を図る研究を行っています。
保健医療学部
保健医療学部パンフレット(デジタル版)