臨床工学技士は、医師の指示のもと、人工呼吸器や人工心肺装置、血液浄化装置などの生命維持管理装置の操作や医療機器全般の保守・点検を行う、生命をつなぐエンジニアです。今後、さらに高度化する医療機器の安全確保と有効性を維持する担い手としてチーム医療に欠かせない存在になっています。一方で、現代医療において求められる医療機器に関する高度な知識と技術、さらには冷静かつ正確な判断力を併せ持つスペシャリストとして、産業界での活躍も期待されています。
1987年に誕生した一番新しい医療分野の国家資格です。医療の世界は日進月歩で発展し、生命が救われる可能性は飛躍的に向上しました。そのため、医療の高度化・デジタル化などに対応できる人材が求められるようになり、「臨床工学技士」が生まれたと言っても過言ではありません。2010年以降は、医療現場での業務が拡大し、それまで医師にしかできなかった医療行為の一部を臨床工学技士が行うようになり、「チーム医療」の中で、さらに重要な役割を担うようになりました。地域医療を支える拠点病院を中心に、人材ニーズは高まり、臨床工学技士の未来は広がっています。
高度医療と医療安全を一体化しながら、医療機器を扱うスペシャリストとして医療チームにいなくてはならない存在です。生命維持管理装置やペースメーカー、さらに現在注目されているAIを駆使したロボット支援手術にも携わります。医学と工学の知識を修得し、さらにその知識を結びつけることで、活躍するフィールドは広がります。
専門性を選べる点も臨床工学技士の魅力のひとつです。循環器内科で心臓カテーテル治療に携わったり、心臓血管外科で人工心肺技士を目指したり、集中治療科で人工呼吸器やECMOを用いて人命を救うなど、自分に合った専門分野で活躍でき、様々な経験を積みながら、キャリアアップを目指せます。
理系・工学の色が強いと思って、敬遠していませんか?本学では、数学や理科、工学の基礎分野をしっかりと理解できるようにサポートし、国家資格取得を目指しますので安心です。医療機器のデジタル化が進み、操作の正確性・操作性も向上してきたため、理系・工学系の知識だけでなく、冷静な判断力、医師や看護師、患者さんとのコミュニケーションを図る能力も強く求められています。
AI革命の到来で、私たちの暮らしは大きく変わろうとしています。医療分野においてもAI革命により、さらに検査・診断のスピードや正確性が高まり、より高度な技術で病気と戦えるようになることが期待されています。だからこそ、AIに使われる人ではなく、AIを活用できる人材になる必要があります。新たな工学技術に精通した臨床工学技士こそが医療現場でAIを活用でき、数十年先も活躍が期待できます。
幅広い教養を身につけるとともに、医療人として必要な基礎知識を学ぶ
人体の構造及び機能
臨床工学に必要な医学的基礎
キャリアデザイン
医学的知識と理工学的知識を修得し、医療機器の原理について学ぶ
臨床工学に必要な理工学的基礎
臨床工学に必要な医療情報技術とシステム工学の基礎
医用生体工学
医用機器及び臨床支援技術学
医療安全管理学
関連臨床医学
医療機器の操作や安全に管理する方法について学ぶ
生体機能代行技術学
実践的な医療機器の運用と医療産業人として活躍するための未来医療を考える
臨床医工学
実践的な能力を身につける臨床実習
3コース共通科目
心臓血管外科・循環器内科を中心とした循環器領域、移植医療、その他の外科手術領域での機械的循環・呼吸補助を理解していきます。先天性心疾患、後天性心疾患、急性呼吸不全、心肺肝移植、救急医療での各症例に応じた体外循環法を学ぶとともに、低侵襲を目的とした手術法、心臓カテーテル検査・治療法・機器管理法についての知識を身につけます。さらに、体外循環装置および構成物品に関する構造を理解し、安全かつ効果的に臨床運用できることを目指します。
臨床医工学分野の臨床および研究開発における最新の人工臓器についての知識を修得します。医学的知識と工学的知識を融合し、将来どのような人工臓器が必要となるかを考える能力を養うため、新しい人工臓器研究および開発について学びます。本科目では図表を多用しながら、実際の学術論文も紹介。それぞれの人工臓器が生体に与える影響について学び、今後どのような改良点が必要になるのかについて議論し、理解を深めていきます。
科学的知見と、規制などの行政施策・措置との間の橋渡しとなる科学「レギュラトリーサイエンス」に関する知識を修得します。医療機器の品質や有効性、安全性確保のための科学的方策の研究、試験法の開発について学びます。レギュラトリーサイエンスによる先端医療技術、最新医療機器などの品質や安全性、有効性に対する基準、関連法規、手法を理解していきます。
保健医療学部
保健医療学部パンフレット(デジタル版)