NBU日本文理大学

シラバス情報

注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「UNIVERSAL PASSPORT」で詳細をご確認下さい。

科目名 エネルギー工学(Energy Utilization Engineering)
担当教員名 松尾 篤二
配当学年 カリキュラムにより異なります。 開講期 前期
必修・選択区分 選択 単位数 4
履修上の注意または履修条件 工業熱力学を修得しておくことが望ましいです。
受講心得 自分が使っているエネルギーに関心を持って受講してください。授業には教科書に記載されていない事項も出てきますので、しっかりノートを取ってください。
教科書 環境にやさしい新エネルギーの基礎 藤井照重編著 (森北出版)
参考文献及び指定図書 資源・エネルギー工学要論 第2版 世良力著 (東京化学同人)
エネルギー工学と社会 牛山泉著 (放送大学教育振興会)
わかる蒸気工学 西川兼康監修 田川龍文・川口巌共著 (日新出版)
火力発電総論 瀬間徹監修 (電気学会)
エネルギ機械 渡部一郎監修 笠原英司・岡野修一編修 (実教出版)
エネルギー変換工学 柳父悟・西川尚男共著 (東京電機大学出版局)
エネルギー工学概論 伊東弘一ほか共著 (コロナ社)
太陽エネルギー利用技術 日本太陽エネルギー学会編 (オーム社)
自然エネルギー利用学(改訂版) 清水幸丸編著 (パワー社)
さわやかエネルギー風車入門 増補版 牛山泉著 (三省堂)
バイオマスが拓く21世紀エネルギー 坂井正康著 (森北出版)
冷凍空調工学 関信弘編 (森北出版)
熱エネルギー・環境保全の工学 井田民男・木本恭司・山﨑友紀共著 (コロナ社)
コージェネレーション技術入門 井上宇市・高田秋一共著 (オーム社)
燃料電池の技術 電気学会・燃料電池発電次世代システム技術調査専門委員会編 (オーム社)
関連科目 工業熱力学
オフィスアワー
授業の目的 現代社会は多量のエネルギー消費の上に成り立っています。しかし一方ではエネルギー資源枯渇やエネルギー消費に起因する地球温暖化などの環境問題が生じています。本科目では、まず石油などの化石エネルギー資源の現状と将来や環境問題について学習し、次いでエネルギーを変換し利用するいろいろな機械機器の原理、構造、特徴などを幅広く学習します。これらの学習を通して機械電気技術者としてエネルギーに関わる上での基礎知識を習得します。
授業の概要 化石燃料による火力発電、化石燃料に依存しない原子力発電、自然エネルギーを利用する太陽熱、太陽光、風力、さらには、廃棄物やバイオマスエネルギーの利用、実用化が進みつつある燃料電池などについて、関連する技術も含めて幅広く講義します。
授業計画 学習内容 学習課題(予習・復習)
○第1回 授業内容の説明、エネルギー事情
全体の授業内容と授業の進め方および成績評価の方法を説明します。エネルギーのいろいろな形態とエネルギー変換、エネルギー資源の種類、日本および世界のエネルギー消費の歴史と現状、化石燃料と核燃料の寿命について解説します。

○第2回 エネルギーと環境問題
地球温暖化や酸性雨などのエネルギー消費が関係する環境問題の原因と原状を説明します。

○第3回 火力発電(1) 蒸気の性質
火力発電や原子力発電のほか、産業の様々な分野で使用される水蒸気は水を加熱して得られます。水から水蒸気になる際の状態変化とエンタルピ、比容積などの状態量の表し方を説明します。

○第4回 火力発電(2) 蒸気動力プラント
火力発電所に代表されるボイラ、タービンおよびその他の装置を組み合わせた蒸気動力プラントの構成と性能、および環境対策を解説します。

○第5回 火力発電(3) ボイラ
水を加熱して蒸気を発生させるボイラには、容量や蒸気の圧力、温度、用途によりいろいろな形式があります。それらの構造と特徴、主な用途を説明します。

○第6回 火力発電(4) 蒸気タービン
ボイラや原子炉で発生した蒸気を高速で羽根車に吹き付けて回転させる蒸気タービンの作動原理と種類、構造を解説します。

○第7回 火力発電(5) ガスタービン複合発電
ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電について、構成、熱効率、起動特性、などを説明し、蒸気タービンのみによる発電と比較しての優位性を解説します。

○第8回 原子力発電
原子力発電所では、原子炉で核分裂により発生する熱を利用して蒸気を発生させます。核分裂反応の概要と原子力発電の原理、構成、種類を説明します。

○第9回 問題演習1
第1回~第8回の授業内容について、問題演習を行います。

○第10回 太陽エネルギーの概要
太陽エネルギーは大気や雲などの影響を受けますので、地上の日射量はきわめて複雑に変化します。大気圏外と地表における日射量の違い、日射量の数式表現、日射量の分布、変動などを解説します。

○第11回 太陽熱利用
太陽熱の集熱の方法、給湯や暖房への太陽熱のアクティブ(能動的)利用とパッシブ(受動的)利用、太陽熱発電について説明します。

○第12回 太陽光発電
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池の原理、構造、各種太陽電池の特徴、変換効率および発電システムの構成などを説明します。

○第13回 風力発電(1) 風のエネルギー
風は時間的・季節的に大きく変動します。まず、このような変動する風力エネルギーの性質について解説します。次いで、風の運動エネルギーを動力に変換する風車の基本的理論を解説し、風のエネルギーから風車出力への変換効率には理論上上限があることを説明します。

○第14回 風力発電(2) 風車
風車には回転軸の姿勢により水平軸形、垂直軸形があり、また風車の羽根に対する風の力の作用の仕方により揚力形、抗力形があります。これらの風車の種類、構造、特徴、性能を説明します。

○第15回 問題演習2
第10回~第14回の授業内容について、問題演習を行います。

○第16回 廃棄物エネルギー
廃棄物の種類と排出形態、処理の状況について概説したのち、廃棄物のエネルギー利用であるごみ発電について説明します。

○第17回 バイオマスエネルギー
バイオマスとはエネルギー源として利用可能なまとまった量の動植物起源の有機物のことです。バイオマス資源の種類といろいろな利用方法を解説します。

○第18回 冷凍(1) 蒸気圧縮式冷凍機
冷凍技術の中で最もよく利用されている蒸気圧縮式冷凍機は、作動流体である冷媒を蒸発、圧縮、凝縮、膨張させて、熱を低温から高温へ移動させるものです。この冷凍機の構成と冷凍の原理、性能の計算方法などを説明します。

○第19回 冷凍(2) 吸収式冷凍機
蒸気圧縮式冷凍機は圧縮機で機械的に冷媒蒸気を圧縮するのに対して、吸収式冷凍機は圧縮機を用いずに、冷媒を液体に吸収させたり加熱して分離したりして、圧縮と同じ作用を行います。このような吸収式冷凍機の作動原理と構成を説明します。

○第20回 未利用エネルギー
河川水の熱や工場排熱などは温度が高くないためそのままでは利用しづらいものですが、エネルギー量は大量ですので、冷凍機をヒートポンプとして使用してこれらから熱をくみ上げ、温度の高い熱エネルギーに変えて利用することが可能です。これらの未利用エネルギーを有効利用するシステムの原理と利用状況を説明します。また雪氷利用システムについても説明します。

○第21回 空気調和(1) 湿り空気の性質
大気は乾き空気と水蒸気が混合した湿り空気です。人間に快適な居住空間を、あるいは工場の生産設備や製品に必要な環境を提供するために、湿り空気を最適な状態にするのが空気調和(空調)です。湿り空気の性質、湿り空気の状態を表す種々の用語の定義と意味、計算方法を説明します。

○第22回 空気調和(2) 湿り空気の状態変化と空調システム
空調では湿り空気の温度と湿度を変化させます。湿り空気線図を用いると、その変化を視覚的にとらえて、変化後の状態を簡単に求めることができます。加熱、加湿、冷却、除湿などについて、湿り空気線図を用いて状態変化を求める方法を説明します。また、空調システムの構成とそこに使用されるいろいろな機器を紹介します。

○第23回 問題演習3
第16回~第22回の授業内容について、問題演習を行います。

○第24回 クリーンエネルギー自動車
電気自動車や天然ガス自動車など、石油代替エネルギーを利用し、それによりガソリンの消費量を削減して環境負荷を軽減する自動車をクリーンエネルギー自動車といいます。これらの普及状況や普及のための課題を解説します。

○第25回 コージェネレーション(1) システム概要
一般的なコージェネレーションシステムは、ま燃料を燃焼させて発生した高温の熱エネルギーを機械的エネルギーに変換して発電し、次いで低温になった熱エネルギーで暖房や給湯を行う熱電併給システムです。このようなシステムの構成、有用性、性能について説明します。

○第26回 コージェネレーション(2) システム原動機
コージェネレーションシステムの主原動機として使用されるディーゼルエンジン、ガスエンジン、ガスタービンについて、特徴、運転特性、NOx抑制法などを説明します。

○第27回 燃料電池(1) 原理と種類
燃料電池は、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、自動車用や家庭用を含む分散型電源として今後広く普及すると予想される重要な技術です。燃料電池の原理、種類、構造、変換効率、用途などについて解説します。

○第28回 燃料電池(2) 発電システム
各種燃料電池を用いた発電システムの構成、特徴、開発・普及状況を解説します。

○第29回 分散ネットワークシステム
コストや安定性に難点がある自然エネルギーによる電力を他の複数の分散電源と組合わせて、全体で需要と供給のマッチングをとる電力需給ネットワークシステムについて、構成、効果、意義、課題を解説します。

○第30回 問題演習4
第24回~第29回の授業内容について、問題演習を行います。

○第31回 期末試験
第1回~第30回の授業内容について試験を行います。
授業の節目で演習問題の宿題を出します。
授業の運営方法 「講義科目」です。教科書に記載されている事項のうち,基本的かつ重要な部分,あるいは実践的な部分をピックアップして講義します。授業には教科書以外の事項も出てきますので、必要に応じて補足的なプリントを配付します。随時、演習問題の宿題提出も課します。 
備考
学生が達成すべき到達目標 ①エネルギー変換の意味としくみを理解する。
②各種のエネルギー変換について、基本的な計算ができる。
③種々のエネルギー機器の原理、構造、作用を理解する。
④種々のエネルギーシステムのしくみと意義を理解する。
評価方法 評価の割合 評価の実施方法と注意点
試験 70 授業内容を断片的ではなくエネルギー問題全体との関連性も含めて理解できているかを確認し、評価します。
小テスト
レポート 30
成果発表
作品
その他
合計 100