NBU日本文理大学

シラバス情報

注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「UNIVERSAL PASSPORT」で詳細をご確認下さい。

科目名 民法ⅠB(Civil LawⅠB)
担当教員名 松下 乾次
配当学年 2 開講期 後期
必修・選択区分 選択 単位数 2
履修上の注意または履修条件  民法ⅠA、ⅠBいずれから履修しても構いません。
受講心得 配付資料(冊子)を必ず持参して下さい。授業内容(板書)と自習内容からなるノートを作成してください。
教科書  授業で指示します。
参考文献及び指定図書  授業で指示します。
関連科目  民法ⅠA、民法Ⅱ
オフィスアワー
授業の目的  モノが安定かつ自由な移転を保障するために、所有権がどのように制度化されているかを学びます。また、貸金債権の担保回収の基本制度を学習します。
授業の概要  民法ⅠBは、「物権法」を扱います。まず、基本的原則の説明では、物権法・所有権法の意義(社会的機能)をっ学習します。とくに、契約自由(市場の自由)との関係です。不動産を中心に契約が有効に成立した後(例えば競争相手が同じものを求めて同じ契約がなされたとき、誰もののであるか(=所有権者)を確定します。これに関する制度を学習します。民法は基本的に市場においてモノとカネが交換される過程を対象にします。物権法もまた、カネの流れる過程も制度化しています。いわゆる金融法の基礎の部分です。
授業計画 学習内容 学習課題(予習・復習)
○第1回
民法全体の概説。民法ⅠAを履修していないことを前提として、民法の基本原則、民法の全体像(契約締結から終了に至る各段階での紛争処理制度)を見ます。
○第2回
物権法の意義、私権における物権と債権の意義を見ます。売買契約では、まず売主、買主双方に要求する権利が発生します(代金請求等)。これが債権です。そして、売買の対象となる物が買主に移転し、しかも移転した物に他人が妨害してきたとき、これを排除できる権利、すなわち所有権自体の移転が必要です。これが、物権です。
○第3回
物権法の意義と効力。物権は、他人の妨害を排除する内容を持つ「支配権」です。所有権絶対の原則と深く関係し、強力な内容の権利となっています。これに対して、債権は契約自由の原則と関係し、「請求権」を中心とする弱い権利です。債権どうしでは平等・並存の関係にあるのに対して、物権は、他の物権・債権に優先的効力を持ちます。
○第4回
物権変動。所有権の移転の要件と時期の問題です。債権は、契約合意・意思だけで生じます。そして所有権も、日本の民法典は意思だけで生じるとします(176条)。登記移転、代金支払いがまだでも、買主が所有権者だというのです。これでは、買主が複数登場すると買主どうしの関係(対抗関係)はどうなるのでしょうか?日本民法は土地の売買なら買主のいずれが先に登記を移転したのかで決します(177条)。
○第5回
対抗関係(177条)の適用範囲。登記の先後で所有権がいずれにあるのかを決する関係は、二重売買以外にもあります。契約が取消し、解除されたが、登記を戻さず買主にあった。それを奇貨として買主が第三者に転売した。元の持ち主=売主と第三者との関係はどうなるか?いずれが所有権者か?また、取得時効、相続の場合にも同じ問題があります。
○第6回
登記手続、効力。登記で決するといっても、そもそも日本の登記はどのような効力を持つのか。土地登記簿は、土地の現況(場所、面積、利用状況等)、所有権者および賃借人等その利用者が記載されます。当該土地に関する重要な事項が「公示」されているのです。登記には、公示(力)、対抗(力)、権利推定(力)があります。では、登記簿上の所有権者の名義を信頼して契約を結んだ者は保護されるのでしょうか?この信頼できる力が「公信力」です。しかし、日本の登記には公信力はありません。
○第7回
占有権。まず事実上の支配が権利として制度化された「占有」を見ます。占有を保護するため、妨害を排除する内容の権利を持ちます。また、本来の所有者との利益調整の制度も置かれています(費用償還等)。さらに、占有は、動産の場合は取得すらも可能とします(即時取得)。
○第8回
所有権。物権の中心は、もちろん使用・収益・処分を完全に持つ所有権です。絶対的な権利といっても、所有権者どうし利益が衝突した場合はそれを調整しなければならない(相隣関係における境界線の問題等)。また、近代所有権法は、モノが自由に移転するため、所有権の「単純化」を要請します。複雑な所有形態を嫌います(一物一権主義)。二以上の所有物が分離不可能になった場合に、一つの所有物として扱う「添付」の制度があります。
○第9回
所有権。所有権の「単純化」の要請がもっとも端的に現れるのは、共同所有の問題です。モノの自由な移転を阻害する複雑な所有形態を嫌う民法がまず承認した共同所有が、「共有」です。各共有者に持分権、分割の自由も認めるもっとも緩やかな共同所有です。しかし、現代社会では多様な共同所有が必要です。分譲マンションは、各部屋の所有者(区分所有権者)が一個の建物を共同所有しています。全員の同意がなければ建替えができないのでは困ります。特別法による規制が必要となります。
○第10回
利用権的な物権として(用益物権)、地上権があります。また、他人の土地の便益を享受する地役権があります。債権である賃借権と比較して、権利内容の相違、歴史的あるいは今日の現実の利用状況を見ていきます。
○第11回
担保物権。債権の確保(貸したお金を確実に回収)のための制度が、物権法にあります。単なる債権では、債務超過の場合に全額を回収できない(債権者平等の原則)。そこで、物権の優先的効力を利用して優先的に回収するため担保物権があるのです。
○第12回
抵当権。代表的な担保物権である抵当権を通して、金融に関して民法がどういう立場を採っているのかを学んでいきます。抵当権では、土地を担保としてお金を借りたが、返さないために競売にかけられることになった。土地に付属するもがどこまで競売の対象となるかが問題です。拡大される傾向にあります(本来別途に取引されるものでも、ガソリンスタンドの土地上の給油施設)。この傾向は、抵当権者に有利に働く。その狙いは、債権者の権利を拡大することであって、めぐりめぐって貸しやすい(必要な人に融資が向かうような)環境を作るためです。
○第13回
抵当権。さらに抵当権の権利拡大は、競売妨害者として現れる「濫用的短期賃貸借者」に対する抵当権者の妨害排除請求権を承認するところまで進んでいます。また、現行民法典は、抵当権付不動産の購入者(第三取得者)の保護に厚すぎます。これを含めた担保法の改正の動きがあります。
○第14回
抵当権以外の担保物権。民法に規定されなかった担保物権として、仮登記担保、譲渡担保および所有権留保があります。その特徴は、お金を返さないなら、所有権を譲り受けるなり、あるいはいったん手中にした所有権を手放さないことによって、強力な担保権を持たせることです。
○第15回
総復習
○第16回
定期試験
授業のはじめに配付された資料(冊子)の該当頁を、毎回予習する。
授業が済んだら、ノートを整理し、冊子の復習問題に取り組む。
授業の運営方法  特にありません。
備考
学生が達成すべき到達目標 ① 物権法・所有権法の意義(市場における役割)を理解する。
② モノの流れる過程、確実に移転する過程に関する制度の全体像を理解する。
③ カネの流れる過程、金融法の基礎(全体像)を理解する。
④ 以上に関する、キーワード(約40)を理解する。
評価方法 評価の割合 評価の実施方法と注意点
試験 80 第16回に定期試験を実施する。
小テスト
レポート
成果発表
作品
その他 20 出席とともに、最終回に自筆のノートを提出。
合計 100