NBU日本文理大学

シラバス情報

注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「UNIVERSAL PASSPORT」で詳細をご確認下さい。

科目名 制御工学(Control Engineering)
担当教員名 武村 泰範
配当学年 3 開講期 前期
必修・選択区分 必修 単位数 2
履修上の注意または履修条件 電気回路、電子回路を十分理解しておいてください
受講心得 計算用具持参
教科書 わかりやすい制御 
(Ohmsha) 竹下・鷲野共著
参考文献及び指定図書 フィードバック制御入門 コロナ社 杉江・藤田共著

絵ときでわかる機械制御 オーム社 宇津木諭著
関連科目 電気回路論及演習1・2、電子回路1、電気機器1
オフィスアワー
授業の目的 18世紀末、J.Wattが蒸気機関の速度調整に用いたガバナーにより、初めて負のフィードバック、すなわち負帰還という手法が世に出て以来、制御工学が世の中に定着し、さまざまな分野に適用され、目覚しい成果をあげています。そこで、この制御工学を真に理解し、それぞれの専門分野に活用して行くことを目標とします。そこで、先ずフィードバックの概念を古典制御理論にもとづいて学習し、現在の自動制御に用いられている制御機器の基礎的技術についての理解を得るようにします。そこで、まずロボット等に代表されるサーボ系と各種の製造工程、自動調整に用いられるプロセス系につき、その信号の流れを把握するブロック図から始め、目標どおりの特性が得られるための設計法を学びます。
授業の概要
授業計画 学習内容 学習課題(予習・復習)
○第1回 自動制御の発展
 ワットのガバナーに始まった負帰還による自動制御の考え方は、産業革命の流れに沿って工業のあらゆる分野に応用されてきました。世界大戦までにほぼその工学的な理論体系が整い、現在、我々は比較的容易に、制御理論を理解し、色々な制御に役立てることができるようになりました。ここでは、その沿革を展望し、現在の状況を確認します。

○第2回 自動制御とは
 制御とは“ある目的に適合するように、対象となっているものに所要の操作を加えること”と定義されています。そこで、例えば、命令どおりに手を動かすロボット、温水漕の温度に一定化、送電電圧・周波数の調整等を眺めながら、その制御の仕組みを考えていきます。

○第3回 制御系の分類
 制御系は、具体的にどのような種類の物理量を制御するかによって、サーボ、プロセス、自動調整の3種に通常分類されます。そこで、この分類の意義、目的について述べ、その実際の応用分野を比較して制御系の全体像を把握するようにします。

○第4回 信号の伝達と伝達関数
 制御系における“信号”の意味を掴み、その流れを表現するブロック図を構成します。その中身を伝達関数なるもので表し、制御系全体をまとめて非常に手際よく、目標どおりの結果が得られるようにします。複雑な微分方程式群が組織的に、また代数的にうまく整理されていくことに注意します。

○第5回 フィードバックの基礎
 フィードバック制御系における伝達関数の基本形を検討し、その時間的な応答である過渡応答について調べます。この応答波形から、制御系における重要な特性のひとつである定常特性が導かれます。よく、オフセットなる述語で呼ばれて、制御機能の働き具合を示しています。最後に小テストをします。

○第6回 周波数応答
 制御系の働きを調べるもうひとつの有用な方法があります。これは、電気回路に用いたフェーザを応用したもので、与えた信号源の周波数に応じて、応答のフェーザの動きにより、この制御系の動作を調べることができます。この手法は過渡応答と共に制御系の設計によく用いられます。

○第7回 一巡伝達関数
 フィードバック・ループを開放したとき、その開放端と入力端との間の伝達関数で、制御系の設計に重要な働きをします。この関数を色々な角度から検討し、フィードバックをかけた時の状況を判断します。この関数は、実測により求めることもでき、幅広い応用が導かれます。

○第8、9回 制御系の安定性
 応答が一方向に増大し、制御不能な状況に陥ることは非常に危険です。通常は設計の段階で、このようにならないために、その安定性には十分な注意がはらわれます。そのため、一巡伝達関数の周波数応答をもとにした、ナイキストの安定判別法なる手法を十分理解することが大切です。

○第10回 ナイキスト線図
 一巡伝達関数の周波数を変化させた場合の大きさ、位相角を複素平面上にプロットした時の軌跡はナイキスト線図と呼ばれ、安定判別に非常に有用です。これは、回路理論におけるフェーザ図と同じですが、ここではこの描かれた線図から制御系が安定であるかどうか、すなわち閉ループ時―使用状態で変な動作をしないかどうかを判断することができます。

○第11回 制御系の安定度
 制御系の安定性の度合いを計る重要な二つの指標があります。これは、位相余有とゲイン余有と呼ばれ、不安定域に至らないため予め、それらの値だけ余有を持って、いわば控えめに設計させるための指標です。これらの値をナイキスト線図から求めます。最後に小テストをします。

○第12回 ボード線図
 ループゲインの周波数特性のもう一つの表示法にボード線図があります。これは、ナイキスト線図を利得と位相の二つの特性に分け、それぞれ別々に二枚のグラフに対数を用いて見やすく表したものです。このグラフからも、利得・位相余有が得られ、設計に便利です。このグラフの作成に力をいれます。

○第13回、14回 プロセス制御系
 制御量が一定の最適値に保持される各種の製造工程、自動調整系においては、比較、補償、操作出力の各部をまとめた調節計―コントローラーと呼ばれる装置がよく使われます。プロセス系は伝達関数が割合類型的なため、汎用の調節計の補償部の比例(P)、積分(I)、微分(D)作用の効き目をそれぞれの系に対応させて、制御特性を最適化しています。ここでは、これらの全体のシステムの概要について概説します。

○第15回 ニコルズ線図
 プロセス制御系では一般に閉ループ、すなわち使用状態で最適な応答が得られるようにP、I、D作用を調節します。この場合には、閉ループ特性を標準化したニコルズ線図という図表が使用されます。この線図上に一巡伝達関数のゲインと位相の軌跡を描き、この線図上の目盛読み取りますと、閉ループ、つまり使用状態における応答特性を容易に得ることができます。プロセス系ではこれらのP、I、D作用の効き目はほぼ経験的に範囲が指定されており、このニコルズ線図により定数設定が行えます。

○第16回 期末試験
 持ち込み不可。
授業の運営方法 座席を指定します。
備考
学生が達成すべき到達目標
評価方法 評価の割合 評価の実施方法と注意点
試験 50
小テスト 20
レポート 15
成果発表
作品
その他 15
合計