NBU日本文理大学

シラバス情報

注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「UNIVERSAL PASSPORT」で詳細をご確認下さい。

科目名 空気力学序論(Introduction to Aerodynamics)
担当教員名 河邉 博康
配当学年 1 開講期 後期
必修・選択区分 航空宇宙設計コース 必修
航空機整備コース 必修
航空宇宙システムコース 必修
単位数 2
履修上の注意または履修条件 特にありません。
受講心得 教科書、配布プリントを必ず持参してください。
講義を受ける前に、教科書を読んでおいてください。
教科書 牧野光雄著「航空力学の基礎(第2版)」(産業図書)
参考文献及び指定図書 日本航空技術協会 「新航空工学講座(1) 航空力学」
関連科目 空気力学1、飛行力学1
オフィスアワー
授業の目的  空気力学序論は航空工学の基礎となる科目であり、空気力が航空機、特にその翼にどのように作用し、揚力及び抗力がどのような法則に従って生じるかについて基本的な知識を習得することを目的とします。本講の後は、飛行力学及び空気力学へ続きます。
授業の概要 空気力学の入門的な授業であり、毎回、空気力学の基本的な内容について課題プリントを配布し解いて提出してもらいます。空気力学の基本を授業で学び課題で復習し、さらに3回の小テストでもう一度確認します。
授業計画 学習内容 学習課題(予習・復習)
○第1回 航空機の分類
最初は、導入ということで航空機の定義を行い、揚力の発生原理の違いから、航空機を重航空機と軽航空機に大別し、さらに推進装置や固定翼、回転翼などの違いで細かく分類します。また、航空機に使用される推進装置としてプロペラ、ジェット、ロケットなどの種類や推進力の発生原理について簡単に紹介します。授業内容について課題を出します。

○第2回 空気力学の用語の説明
空気力学を学ぶ上で基本となる用語について説明します。音速の定義、飛行マッハ数の分類、衝撃波や粘性、完全流体、理想流体の定義、ダランベールの背理の概念、摩擦抗力と形状抗力の違い、境界層の構造、レイノルズ数の物理的な意味などについて説明します。授業内容について課題を出します。

○第3回 気体の熱力学的な性質
気体の温度、圧力、密度によって気体の状態を表す完全気体の状態方程式(ボイル・シャールの法則)について説明します。また、気体の状態変化の仕方は無数にありますが、空気力学において重要なものとして、等温変化や断熱可逆変化について説明します。授業内容について課題を出します。

○第4回 圧縮性と音速、粘性と摩擦応力
流体の圧縮性とは、シリンダの中に流体を満たして、ピストンにより流体に圧力を加えると、流体は縮んで体積が減少するという性質です。この圧縮性の概念を使って音速を表す式を導出します。また、流体の粘性や摩擦応力についてクエット流を例に挙げて説明し、気体の粘性係数を温度で表すサザーランドの公式を紹介します。授業内容について課題を出します。

○第5回 テスト1回目と解説
第1回目~第4回目の授業内容についてテストを行います。テスト終了後、テストの解説をします。

○第6回 流れ場と連続の式、ベルヌーイの定理
流体が流れている空間を流れ場といい、速度、圧力、密度、温度などが時間的に変化しない流れを定常流といいます。定常流での流れの様子を表す方法として、流線や流管について解説します。この流管に出入りする流体の運動に対して質量保存の法則を適用した連続の式について詳しく説明します。流体運動に対してエネルギー保存の法則を適用したベルヌーイの定理についても詳しく説明します。特にベルヌーイの定理は流体の圧力を知ることができる最重要公式です。授業内容について課題を出します。

○第7回 気流の速度を測定する方法および渦と循環
ベルヌーイの定理の応用例として、気流の速度を測定する方法について説明します。ピトー静圧管やベンチュリ管について、構造および測定圧力から気流の速度を算出する方法について解説します。また、対気速度計の構造、作動原理について説明し、指示対気速度、真対気速度、校正対気速度の違いについて解説します。
渦の定義を行い渦線、渦管、渦糸について説明します。これらの用語を理解して循環の定義について説明します。渦糸による誘導速度を求めるために、ビオサバールの法則を説明します。授業内容について課題を出します。

○第8回 圧力分布 
流れの中に置かれた物体まわりの圧力分布を知ることは非常に重要です。そこで、ベルヌーイの定理を用いて、物体表面の流速から圧力係数を求める方法について解説します。特に、2次元翼理論の基礎となる2次元の円柱まわりの圧力分布について詳しく説明します。授業内容について課題を出します。

○第9回 クッタ・ジューコフスキーの定理および揚力と抗力
「完全流体の一様流中に直角に置かれた円柱には揚力も抗力も働かない」というダランベールの背理を証明します。完全流体の一様流中に円柱を置き、そのまわりに何らかの方法により循環流を起こさせたとき、円柱を流れに直角方向に押しやる力が発生します。この力の大きさを理論的に求めるクッタ・ジューコフスキーの定理について説明します。また、クッタ・ジューコフスキーの定理を使って、どのようにして翼のまわりに循環が発生し揚力が生まれるのか説明します。また、物体に働く揚力や抗力から揚力係数、抗力係数、摩擦抗力、形状抗力を定義します。授業内容について課題を出します。

○第10回 テスト2回目と解説
第6回目~第9回目の授業内容についてテストを行います。テスト終了後、テストの解説をします。


○第11回 次元解析と相似則
ある現象において諸量の間に成り立つ関係が未知である時に、その関係式を質量、長さ、時間の3つの基本的な次元を用いて推定する方法を次元解析といいます。流れの中に置かれた物体に働く揚力、抗力、レイノルズ数を次元解析から求めます。そして、実物と模型の間で力学的な相似則が成り立つには、マッハ数とレイノルズ数が一致する必要があることを説明します。授業内容について課題を出します。

○第12回 風胴
人工的に一様な気流を作り、その中に置いた物体に働く力やモーメントを測ったり、あるいはそのまわりの圧力分布や風速分布を測定したり、または流れの状態を可視化によって調べたりするための装置を風胴といいます。風洞は、構造、機能、性能、用途からいくつかの種類があります。それぞれの種類について構造、機能などを説明します。授業内容について課題を出します。

○第13回 大気
航空機は大気中を飛行するので、その性能は大気の状態に大きく左右されます。したがって、標準となる大気を定めて、その大気に基づいて性能を表したり、設計計算をしなければなりません。まず、対流圏、成層圏などの大気の構成について説明します。そして、標準となる大気である国際標準大気について説明をし、高度が与えられたときの温度や圧力、空気密度の算出方法について解説します。授業内容について課題を出します。

○第14回 翼
航空機に使われる翼の断面形状や平面形状の名称や風圧中心、空力中心の違い、揚力係数や抗力係数など、基本的な翼の知識について解説します。  

○第15回 テスト3回目と解説
第11回目~第13回目の授業内容についてテストを行います。テスト終了後、テストの解説をします。

○第16回 復習授業
授業で学習した内容の総括を行い、学生自身に学習達成の程度を自己点検させます。学習目標が達成されているかを個々の学生の成績評価を示して説明します。
必ず教科書を読んでから、授業に臨むこと。

返却された課題をよく復習しておくこと。
授業の運営方法 教室の座席を指定します。
教科書にある数式を導出したプリントを配布し、講義に使用します。自宅学習での参考にしてください。
備考
学生が達成すべき到達目標 空気力学の基本的な物理現象を理解すること。
空気力学の工学的な応用問題を、計算によって解けるようになること。
空気力学特有の用語、数値を暗記しておくこと。
評価方法 評価の割合 評価の実施方法と注意点
試験 3回の小テストとレポートで評価しますので、本試験はありません。
小テスト 75 基本的な空気力学の用語を覚えているか、空気力学の現象を計算できるか評価します。
レポート 20
成果発表
作品
その他 5
合計 100