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シラバス情報
平成22年度
工学部機械電気工学科
詳細
シラバス情報
注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「
UNIVERSAL PASSPORT
」で詳細をご確認下さい。
科目名
光エレクトロニクス(Opto-Electronics)
担当教員名
川崎 敏之
配当学年
3
開講期
前期
必修・選択区分
情報電子・電気工学コース選択必修
単位数
2
履修上の注意または履修条件
「電子工学」を受講していることが望ましい。
受講心得
レーザー等の光技術に興味があること。
教科書
資料を配布します。
参考文献及び指定図書
末田「光エレクトロニクス入門」(丸善)
福光「光エレクトロニクス入門」(昭晃堂)
西原、裏「光エレクトロニクス入門」(コロナ社)
小原、荒井、緑川「レーザー応用工学」(コロナ社)
砂川「理論電磁気学」(紀伊國屋)
関連科目
電気材料1、電気材料2、半導体工学2
オフィスアワー
授業の目的
レーザーを中心とした光エレクトロニクスは産業としても普及の時代を迎えつつあり、これからは避けて通れなくなる学際分野です。近年の光エレクトロニクスの進展について理解します。
授業の概要
・波動基礎
・レーザー基礎
・レーザー発振原理
・各種レーザー
・レーザー応用
授業計画
学習内容
学習課題(予習・復習)
○第1回 序論
光エレクトロニクスはエレクトロニクスと光学が融合したレーザー中心の学際的科学技術分野です。レーザー開発の歴史を調べます。レーザーが理論的に考案され発振実験に成功してからまだ40数年程しか経ちません。この間に光通信への応用等大きな進歩を遂げました。
○第2回 レーザー技術の展開
各種レーザーがどのような発振波長を有するか調べた後、レーザー技術がどのような学問の上に成り立ち、どのような応用が展開されているかを述べます。その応用は、レーザー計測、レーザー医療、レーザー加工、光通信、情報分野、エネルギー分野への応用等多岐にわたっています。
○第3回 真空自由電磁場を記述するマクスウェルの方程式と電磁波
光は電磁波の一種であるのでマクスウェルの方程式で記述できます。マクスウェルの方程式を真空中の自由電磁場という条件を付して解くと電波と磁波が得られます。解を調べると電波と磁波は横波であることが分かります。
○第4回 円偏光
電場ベクトルが一方向に振動している電磁波である光は直線偏光を呼ばれます。一方、回転する電場ベクトルを有する電磁波である光は円偏光と呼ばれます。電場ベクトルを直交する2成分に分け、三角関数などの周期関数で表される両成分に90゜の位相差を付けて合成すると、合成ベクトルの先端は円運動をします。円偏光の作り方について述べます。
○第5回 反射と屈折
屈折率が異なる二つの媒質の境界面に光が入射するとき、界面における電磁波である光の振る舞いから、入射角と反射角が等しいという反射の法則と、いわゆるスネルの法則と呼ばれる屈折の法則が得られます。入射面に対する偏光の向きによっても、反射光や屈折光の強度が変わります。
○第6回 ブリュースター角と全反射
屈折時の光の強度変化を調べると、ロスなく透過できるブリュースター角が存在することが分かります。また、高屈折率の媒質から低屈折率の媒質に入射するとき、入射角が臨界角を越えると百パーセント反射します。これを全反射と呼びますが、界面の外側に光のにじみ出しが生じ、エバネッセント光と呼ばれています。
○第7回 フェルマーの最小時間の原理と光ビームの伝播
光は反射、屈折において最短時間で到達できる経路を通ることが分かります。これをフェルマーの最小時間の原理と呼びます。光線がレンズを透過したりミラーで反射するときの光路を簡単に計算することができる光線行列を使った近軸光線の光路の計算法を紹介します。
○第8回 光ビームの集光
光は波でもあるので一点に集光することはできません。空間的にどのように集光されるかを考察します。光を球面波または平面波と考え、球面波の曲率半径とビーム半径をパラメーターとする光ビームの表し方を学び、さらに、ABCD Lawによりレンズやミラーを経過するときどのようにビームパラメーターが変わっていくかを考えます。
○第9回 レーザー発振の原理
物質の電子状態には基底状態と励起状態があります。通常は基底状態にある原子数が多いですが、何らかの方法で励起状態にある原子数を逆に多くしてやります。これを反転分布と呼びます。反転分布から誘導放出によりレーザー発振ができることを述べます。また、3準位レーザー、4準位レーザーについて述べます。
○第10回 光共振器とレーザーのモード
レーザー共振器は二枚のミラーを向かい合わせて配置します。二枚のミラーの間にレーザー媒質を置き、色々な手段で励起します。安定な発振が得られる共振器の条件、レーザーの発振波長を表す縦モードとレーザーの空間的拡がりを表す横モードについて述べます。
○第11回 Qスイッチ発振
ピークパワーの高いパルス光が得られるQスイッチ発振について述べます。時間的に共振器の発振条件を制限して反転分布を多くしてQ値を高く取り、急に発振可能にすることによりQスイッチ発振が可能になります。電気光学Qスイッチ、音響光学Qスイッチ等があります。
○第12回 各種レーザー
固体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー、半導体レーザー励起固体レーザー、液体レーザー、エキシマーレーザー、ルビーレーザー、YACレーザー、ファイバーレーザー、He-Neレーザー、アルゴンレーザー、CO2レーザー、波長可変レーザー、色素レーザー、Ti:サファイアレーザー等について述べます。
○第13回 レーザー応用1
光ファイバー、光制御、光通信、非線形光学、光ディスクメモリーについて述べます。光ファイバー内でレーザー光は全反射を繰り返すことにより伝播します。電気光学効果や音響光学効果を使いレーザー光を制御することにより光制御することができます。レーザー光のように光パワーが局所的に強大になると電場ベクトルの2乗以上の項に比例する効果が現れ、非線形効果と呼ばれます。このような現象を扱う学問が非線形光学です。
○第14回 レーザー応用2
レーザー加工、レーザー医療、レーザー計測、重力波望遠鏡について述べます。レーザーが世の中に出現した初期の段階から加工への応用が試みられてきました。レーザー溶接、レーザー切断、レーザー穴開け加工が行われ、産業の第一線で活躍しています。レーザー医療でも眼科や癌治療に使われています。
○第15回 総括
総括を行います。
○第16回 期末試験
試験時間:60分,持ち込み不可
毎回の授業後,課題を出します。
授業の運営方法
通常教室での座学。演習問題を多く取り入れ,考える時間を多くとります。
備考
学生が達成すべき到達目標
レーザー基礎から応用まで学習し,その可能性について考えることができるようになる。
評価方法
評価の割合
評価の実施方法と注意点
試験
80
持ち込み不可の試験にて評価します。
小テスト
レポート
成果発表
作品
その他
20
出席状況,課題取り組み状況にて評価します。
合計
100
―