NBU日本文理大学

シラバス情報

注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「UNIVERSAL PASSPORT」で詳細をご確認下さい。

科目名 メインテナンス/リニューアル工学(Engineering of Maintenance / Renewal)
担当教員名 山下 彰彦、近藤 正一
配当学年 カリキュラムにより異なります。 開講期 前期
必修・選択区分 建築コース (選択)
インテリアデザインコース (選択)
土木コース (選択)
単位数 2
履修上の注意または履修条件 時期的に就職活動をしながらの受講となると思われますので、リフォームについて学ぶ強い意欲を継続的に持ち続けられることが履修条件です。後半は、出席をとる代わりに、略設計やスケッチを要求することがあるので、各自スケッチブック等を用意してください。また、レポート提出に電子メールを活用することがあるので、大学の施設や携帯電話等で使用できるようにしておくことが望ましいです。
受講心得 リフォームでは、計画、構造、材料、環境・設備、ときには歴史など幅広い知識と総合的な教養としての実務的発想が必要となります。いわばこれまで学んできた学問の集大成であり、受講者は日常的にリフォームについて考え、自分ならばどうするのか、そのためにはどのような技術を身につけなければならないのかなど、問題意識を持って取り組んでください。
教科書 適宜、参考図書を紹介します。
参考文献及び指定図書 防災工学 石井一郎他著 森北出版 など、授業の内容に関連する優良図書を随時紹介します。
関連科目 構造力学1~3、構造設計1~3、建築一般構造、製図1~2、設計製図1~3、建築計画1~2 など
オフィスアワー
授業の目的 建物や構造物は、作られた当初は、新しくて機能的にも強度的にもその役割を担うことができます。が、年月が経つと、構造部材が老朽化したり、当初もくろんでいた機能でなく異なる役割を期待されるようになることがあります。この授業では、建物と建造物に関し、維持管理とリニューアルについて、具体例を含んで学ぶものです。
21世紀は構造物をつくる時代から維持・更新の時代に入ったと言われています。ここでは、構造物を劣化させる主な要因とその対策について説明するとともに、防災と構造物、構造物の機能といった視点からメインテナンスとリニューアルに関する理解を深めます。また、構造の補強および空間の再構成により建物を修復することによって、建築に美しさ、住みやすさ、強さなど、新しい価値を与える技術についても理解することを目標とします。
授業の概要 第1回から8回までは、山下が担当し、社会施設おける維持管理とリニューアル、地震災害と社会施設強度、海と河川に対する防災と街づくり、材料劣化とメインテナンス、鉄道駅のうつりかわり、好ましい駅機能などについて解説します。第9回から16回までは、近藤が担当し、建築を再生させるために必要となる構造・計画・管理の技術・知識などについて、住宅・民家、オフィス・店舗を中心に解説します。
授業計画 学習内容 学習課題(予習・復習)
○第1回・第2回・第3回 第1章 同潤会アパート
 日本で最初のアパートである同潤会アパートについて、その考え方、計画、設計、維持管理、リニューアルについて、学習します。
○第4回・第5回 第2章 鉄道橋梁と道路橋梁
 社会基盤構造物では、橋梁の維持管理、トンネルの維持管理に多くの注意を払います。鉄道橋梁は100年以上の歴史があり、維持管理の上でどのようなことが重要になるのかがデータとして蓄積されています。道路橋梁は、道路予算の削減に伴い、その維持管理の役割が増大しています。具体例のもとに、構造物を建設してから後、どのようなことが課題となってきたのかについて学びます。
○第6回・第7回 コンクリート構造と鋼構造のメインテナンス
 歴史的には鋼構造が先行して作られ、後追いでコンクリート構造が建設されました。それぞれの構造について、その特徴や、維持管理やリニューアル上での注意点について学びます。
○第8回 建物と地震、小テスト
 現在は、市街地については用途指定を行っており、防火構造の建物も存在するようになりました。また、この60年余り戦争も行っていませんから、飛行機からの爆弾攻撃もありません。ですから、多くの建物が壊れるという場合、地震によるものとなっています。15年前の兵庫県南部沖地震の実例も含んで、地震による建物への負荷について学びます。また、小テストも行います。

★第1回から8回までは、山下が担当します。

○第1回 社会施設おける維持管理とリニューアル
地震や洪水などの災害によって社会施設が破壊や損傷を受けることがあります。また、建設後の年月経過につれて、社会施設は金属疲労や錆や風化などによって劣化が生じます。また、歳月が経過すると、時代が変り、社会施設に対して、新たな機能を持たせたくなったりします。近年での社会施設に対して、どのようなことが問題としてクローズアップしたのか。これらの課題に対して、維持管理とリニューアルはどのようにかかわりあってきたのかについて説明します。

○第2回 地震災害と社会施設強度について
日本では地震国であり、地震によって建造物が大きな被害を受けます。カルフォルニア地震でシード教授が示した砂の液状化現象、兵庫県南部沖地震で大きく見直された耐震設計方向と耐震補強工事について、地震早期検知システムについてなどを取りあげます。そして、それらの知識が構造物の維持管理などにどのような影響を与えたのかに触れることにします。

○第3回 海と河川に対する防災と街づくり
洪水や津波によって社会施設が大きな被害を受けることがあります。水の災害に対してどのような防災対策がとられてきたのか。また、海や河川に人手を加えたことでどのような問題が生じてきたのか。街づくりと防災という視点から建造物のあり方、街づくりについても触れることにします。

○第4回 材料劣化とメインテナンス
タンカー船や橋梁などの鉄の金属疲労、塩分混入による鉄筋コンクリートの劣化、金属の腐食、コンクリートの劣化を取り扱います。それらの材料劣化に対して、現在どのような対策が採られているのか、について考えることにします。

○第5回 鉄道駅のうつりかわり
その時代時代の建造知識と技術、財力、社会での位置づけに応じて多くの駅が設計され、建築されました。駅舎に求められた機能と役割などを考えることにします。駅舎でのリニューアルについて学ぶことにします。

○第6回 JRグループ旅客鉄道会社での好ましい駅機能とは
22年前に公共的で企業的経営を行うものとされた公社である日本国有鉄道は、民営化され旅客鉄道株式会社として再編成されました。鉄道運賃は公共料金で国の認可が必要で余り大きな営業利益が見込めません。そのため、鉄道会社は駅ビルや駅前ビルの建設やリニューアル化や拡大を行い、駅ビル空間などを広げることで営業利益の確保に力を入れるようになりました。

○第7回 今後の課題
第1回から第6回までの範囲について小テストを実施します。そして、メインテナンスとリニューアルについて、現状での問題点を整理して、これから若い技術者が取り組んでいくことになるであろう課題について説明し、考えることにします。

○第8回  第2回中間試験
第1回から第7回までの範囲について小テストを実施します。テストの模範解答を行い、授業で学習した内容を総括します。

★第9回から16回までは、近藤が担当します。
建築を再生させるために必要となる構造・計画・管理の技術・知識を住宅・民家、オフィス・店舗を中心に解説します。

○第9回 リフォームとは
リフォームという概念について、詳説します。技術的な基礎知識として、三大構法の特徴を論じ、それぞれについてリフォーム計画時に留意すべきポイントを説明します。大分県出身の日本を代表する建築家、青木茂氏設計による実践例を中心に紹介し、リフォームにおける特徴的な施工技術、構造計画とデザインとの関連性について論じます。

○第10回 地震に対するリフォームの3つの考え方、耐震診断と耐震補強
地盤、基礎、上部構造のそれぞれについて、地震時における応力伝達の仕組みを具体的事例を踏まえて解説することにより、地震力とは何か、耐震、制振、免震の3つの考え方についての理解を深めます。建築基準法改正(新耐震設計基準)以前の建築は、現在と比べて耐震性が低いといわれています。的確な耐震補強計画を検討するために、耐震診断により建物の耐震性能を正しく把握し評価するための指標、具体的な施工方法等について、解説します。

○第11回 木造建築の壁量計算
木造建築の耐震性能を確保するためには、リフォーム後もじゅうぶんな壁量が確保されている必要があります。建築基準法上、必要とされる壁量について解説し、じっさいに計算できるようになるための演習をします。

○第12回 古民家の再生とパッシブソーラーシステム
近年、スローライフなどの社会的風潮により、全国的に古民家をリフォームする活動が活発になってきています。世代を越えて愛され使い続けられてきたものは、それだけでも非常に重要な価値があります。リフォームとはいわば社会的寿命を終え古くなったデザインを再生する行為であることを、古民家再生の事例をもとに説明します。また、大分県における古民家の現状調査結果より、それらの具体的な調査方法、設計方法、施工方法、活用例等について論じます。リフォームするときのコンセプトの一つとして、自然環境負荷への配慮があげられます。自然の力を利用した空気調和の例としてOMソーラーを紹介し、活用事例について説明します。

○第13回 福祉住環境の整備
祉住環境の整備は、高齢者社会において健全な家庭環境を育むうえで、もっとも重要な課題のひとつとなっています。おもなリフォームの実例をいくつか紹介し、典型的な症例への建築的な対処方法について解説します。

○第14回 インテリアデザインの基本と商業施設のリフォーム
インテリアの仕事の流れについて概説し、インテリアデザインの表現技法や、さまざまな事例について映像を紹介しながらそれぞれの特徴を説明します。また、インテリアエレメントの基本寸法について説明します。商業施設における企画・設計・デザインについて、また、建築計画、照明計画、サイン計画やそれらに関わる留意事項等について、説明します。

○第15回 リフォームの実践
じつは、ヨーロッパにおける建築家の主な仕事はリフォームといえます。空間デザインの歴史的巨匠の一人であるカルロ・スカルパとその作品群について、映像を用いて理解を深めます。講義の最後に授業内容について課題を出します。

○第16回 期末試験(第2回中間試験)
第9回から第15回までの範囲について小テストを実施します。テストの模範解答を行い、授業で学習した内容を総括します。
第1回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第2回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第3回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第4回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第5回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第6回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第7回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第8回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第9回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第10回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第11回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第12回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第13回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第14回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分

第15回
配付資料
演習課題
課題の時間 60分
授業の運営方法 視聴覚資料を用いて講義を行います。
備考
学生が達成すべき到達目標 ①メインテナンス/リニューアルの必要性について理解し概説できる。
②各事例における防災対策の具体的な手法について理解し概説できる。
③材料劣化とメインテナンスとの関係について理解し概説できる。
④建築におけるリフォームの意義と具体的な手法について理解し概説できる。
⑤魅力的で人々を惹き付けるデザインの事例とそれらの美しさの原点を知る。
評価方法 評価の割合 評価の実施方法と注意点
試験 実施しません。
小テスト 80 毎回の講義の要点を理解できているかどうかを確認します。
レポート 20
成果発表 実施しません。
作品 制作しません。
その他 実施しません。
合計 100