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シラバス情報
平成22年度
工学部建築学科
詳細
シラバス情報
注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「
UNIVERSAL PASSPORT
」で詳細をご確認下さい。
科目名
環境水理学(Environmental hydraulics)
担当教員名
池畑 義人
配当学年
2
開講期
前期
必修・選択区分
建築コース 選択
住居・インテリアコース 選択
土木コース 必修
単位数
2
履修上の注意または履修条件
水の流体運動を理解するためには数学・物理学の知識が不可欠なので、数学・物理関連の科目の内容を十分に理解しておいてください。
受講心得
講義中の私語は厳禁です。
教科書
大学土木「水理学」
玉井信行・有田正光共編、浅枝隆・有田正光・玉井信行・福井吉孝共著、
オーム社出版局
参考文献及び指定図書
絵とき水理学 粟津清蔵監修、國澤正和、福山和夫、西田秀行共著 オーム社
わかり易い土木講座7「水理」 嶋 祐之、三宅政光、山本宏共著
メルビン・ケイの実用水理学超入門 Melvyn Key著 山海堂
関連科目
流体力学,水文学,河川海洋環境工学
オフィスアワー
授業の目的
建設工学では、ダムや護岸などの水理構造物の設計のために流れる水の動きに関する知識が必要となります。それに加えて、近年では汚染物質の拡散など環境評価をするための手法としても水理学の知識は必要となっています。この講義では、ダムや擁壁の設計のために必要とされる静水(止まった水)の力学について学び、様々な形の水中の構造物に働く水圧を計算できるようになることを目的としています。そのためには、公式が数多く出てきますが、この講義では公式の暗記が目的ではなく水の力学的な性質について理解を深めることを目標とします。
授業の概要
水の基本的な性質
静水(流れていない水)の力学
圧力と浮力の関係
授業計画
学習内容
学習課題(予習・復習)
○第1回 水理学を学ぶにあたって,水の性質
流体力学の一分野としての水理学の位置づけについて説明し、水工学の歴史を簡単に紹介します。また、構造物の設計で水理学の果たす役割について解説して、水理学を学ぶ意義を確認します。また、この講義で対象とする「水」の物理・化学的性質についても説明します。
○第2回 止まった水(静水)の内部に作用する圧力の性質
ダムやせき、堤防などの水理構造物の設計・施工のためには流れていない水(静水)から発生する水圧を計算することが基本です。静水が及ぼす圧力のことを静水圧をいいます。この静水圧には
(1)水深に比例する
(2)面に垂直に作用する
(3)どの方向からも同じ大きさで作用する
という3つの性質があります。この講義では、静水圧がこのような性質を持つ理由について解説します。
○第3回 垂直に立った平板に作用する水圧(1)
水を垂直に立てた板でせき止めたとき、板の両面には大気と水、それぞれから圧力が働きます。この大気と水の圧力の差によって板を倒そうとする力が発生します。この力を計算できなければ、水をせき止める板を立てることはできません。この講義では、このような板の表面に働く水圧の場所ごとの分布を求める方法について解説します。
○第4回 垂直に立った平板に作用する水圧(2)
前回の講義では、垂直に立った平板に作用する水圧の分布について解説しました。ここで求めた平板に作用する水圧を、平板上の全ての点で足し合わせたものを全水圧と呼びます。また、モーメントの釣り合いから水圧を全水圧に置き換えた場合には、全水圧は板のどこにでも作用して良いわけではありません。この講義では、このような平板に作用する全水圧とその作用点の求め方について解説します。
○第5回 確認演習1
これまでの学習内容について演習を行ったうえで,理解度を確認する小テストを実施します。
○第6回 水中に沈んだ物体に作用する水圧
これまでの講義では水面から水底まで置かれた板に作用する水圧の性質について解説しましたが、この講義では水面下に沈んだ物体に作用する水圧の性質について講義します。
○ 第7回 斜めに立った平板に作用する水圧
斜面で水をせき止める構造は、堤防やダムなど身の回りでよく見られます。このことからわかるように、斜面に作用する圧力の計算は水理構造物の設計には欠かすことができません。この講義では、斜面に作用する水圧の分布と水圧を板の上で全面にわたって足し合わせた全水圧、そして全水圧の作用点の求め方について解説します。
○第8回 平面に作用する全水圧とその作用点を求める一般式(1)
これまでは、圧力が作用する平面について長方形の平面のみを考えてきました。しかし、実際の水理構造物を設計するときには、円形や台形などの長方形以外の形をした板に作用する圧力について考えなけれ ばならないことが数多くあります。この講義では、どのような形の板でも、それに作用する全水圧とその作用点を求めることができる方法について学習します。
○第9回 平面に作用する全水圧とその作用点を求める一般式(2)
前回に引き続いて、任意の形状の平面に作用する全水圧を求める方法について解説します。この講義では、そのために必要な断面2次モーメントの計算についても復習して、円や楕円の断面2次モーメントの求め方について解説します。
○第10回 確認演習2
これまでの学習内容について演習を行ったうえで,理解度を確認する小テストを実施します。
○第11回 曲面に作用する全水圧 (1)
表面が滑らかに膨らんでいる曲面は平面よりも水圧に耐えられる構造になっています。また、せきなどでは、とがった構造よりも滑らかに膨らんだ構造の方が長持ちすることが知られています。このような理由から、水理構造物には曲面をもった構造が多く見られます。ここまでは、圧力が作用する面は平面だけを考えてきましたが、この講義では、曲面で水をせき止める構造物に作用する全水圧とその作用点を求める方法について解説します。
○ 第12回 曲面に作用する全水圧(2)
前回に引き続き,曲面に作用する全水圧の計算に関する解説を行い,問題の演習を行います.
○第13回 アルキメデスの原理
水の中に沈んでいる物体には、物体の上面と下面に作用する水圧の差によって浮力と呼ばれる力が生じます。今回と次回の講義の2回では、この浮力の性質について講義します。この講義では、浮力の仕組みを学ぶ上で欠かすことができないアルキメデスの原理について解説します。
○第14回 浮力と浮体の安定
堤防などの水中の構造物を設計・施工するときには物体に作用する浮力の知識が不可欠です。この講義では、水面上に浮かんだ物体の安定(そのまま浮かぶ)・不安定(そのままでは浮けずに倒れる)の判断方法について説明します。
○第15回 加速した水の水面の形
コップに入った水を勢いよくかき混ぜたとき、コップの水の水面は中心がへこんだ形になります。これは、コップの水が回転することによって生じる角加速度のために、コップの外側に向かって遠心力が働くからです。このような加速度を受けた水の水面は、そこに働く加速度に応じて変形します。この講義では、加速度によって発生する力と、そのときの水面の形状の関係について解説します。
○第16回 期末試験
10~15回目の内容を中心に,この講義全体の内容に関する理解度を測定するために試験を実施します。
○予習
教科書の該当部分を読んでくること(30分)
○復習
演習問題を解く(150分)
授業の運営方法
板書を用いた講義形式でおこないます。パワーポイントなどの視聴覚機材も適宜使います。
備考
学生が達成すべき到達目標
・水の性質を理解し,直立した四角形断面の平板に作用する水圧の計算ができる(C評価)
・四角形以外の断面形状の平板に作用する水圧の計算ができる(B評価)
・曲面に作用する水圧の計算ができる(A評価)
・浮体の安定計算ができる(S評価)
評価方法
評価の割合
評価の実施方法と注意点
試験
30
期末試験は,最後の5回分の講義の内容を中心として,全ての範囲の内容を理解できているか確認します.
試験は筆記用具以外の持込を不可とします.
小テスト
40
5回目と10回目の講義の時間に到達度を確認するための小テストを実施します.
小テストは筆記用具以外の持込を不可とします.
小テストの結果はそれぞれ,20点ずつ成績に反映します.
レポート
30
成果発表
作品
その他
合計
100
―