NBU日本文理大学

シラバス情報

注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「UNIVERSAL PASSPORT」で詳細をご確認下さい。

科目名 民法Ⅱ(Civil LawⅡ)
担当教員名 松下 乾次
配当学年 3 開講期 前期
必修・選択区分 選択 単位数 4
履修上の注意または履修条件  とくにありません。
受講心得  六法と配付された資料は必ず持参するように。授業内容(板書)と自習内容を加えたノートを作成するように。遅刻は絶対にしないように。
教科書  授業で指示します。
参考文献及び指定図書  授業で指示します。
関連科目  民法ⅠA 、民法ⅠB、商法ⅠA、商法ⅠB、商法ⅡA、商法ⅡB、行政法
オフィスアワー
授業の目的  近年は、規制緩和政策の下民事責任強化のため、債権法分野の特別法が注目されています。政策の大きな転換の意味と債権法の展開を学習します。
具体的には、契約の交渉過程から成立、効果(権利義務)発生(有効要件・双務契約)、契約違反(債務不履行)とその結果としての損害賠償・契約解除、貸金債権・売掛代金債権の担保回収、そして契約関係の終了(弁済)、清算関係(不当利得返還)という民法典の骨格の制度を学習します。
次に、売買契約を中心に、今日の契約の特徴とそれに対応した処理方法を学びます。すなわち消費者法(消費者契約法等)です。グローバルな展開にも注目します。企業間の国際取引・売買において、契約交渉過程に注目して契約責任の強化が図られています。この傾向は、一般の契約においても情報提供義務の法定化等に現れています。また、賃貸借の特別法である借地借家法は、近年土地の有効利用・住宅供給の政策の下、従来の賃借人の保護規制の緩和が図られています。
高度経済成長期の負の遺産を清算すべく不法行為法は、被害者の救済・損害の社会的公正をめざして、特別法・判例法によって大きく変容しました。さらに近年、規制緩和=民事責任の強化の流れから、新たな特別法が出現しています(製造物責任法)。
授業の概要
授業計画 学習内容 学習課題(予習・復習)
○第1回
民法Ⅱの講義のガイダンスと民法の全体像。民法総則を復習し、物権法と債権法の意義を概説します。
○第2回
債権法総則。債権の目的。当事者の約した契約目的である債権の特徴を見ます。債務者が契約上なすべき行為である給付(与える債務、代替債務等)、履行、弁済の概念に注意。
○第3回
債権の目的。特定物債権(不動産売買に関する重要な概念)・種類物債権・金銭債権(利息制限のダブルスタンダードの意義)の各特徴を見ます。
○第4回
債権の効力。求める権利(請求権)に債権の力はとどまらない。訴える権利、さらに裁判所を通した強制履行までの力が債権にはあります。
○第5回
債権の効力。契約の義務を果たさないこと、すなわち「債務不履行」の要件(債権者が契約に期待し、そして満足する状態で履行がなされたか)と効果を学びます。
○第6回
債権の効力。損害賠償法の基礎を学びます。損害賠償の範囲確定について、債務者の過失・予見可能性(あるいは債権者の損害回避義務の考慮)、債務不履行と損害の因果関係など要件に関して、最近の学説判例を学びます。
○第7回
債権の担保制度。貸金債権等の担保制度として、担保物権法(民法ⅠB)を復習します。今日では、中小企業の資金調達がこの分野では重要な問題です。民法の債権担保制度はこれに対して何ができるか、民法から見た金融取引法を学習します。
○第8回
債権の担保制度。債権の保全制度として、債権者代位権・債権者取消権を見ます。同じ保全制度である民事執行法の差押え等保全手続と比較します。
○第9回
債権の担保制度。債権譲渡は、民法の規定では債務者の立場を考慮して要件(対抗要件)が厳しい。また、もともと債権の回収をその目的としていたが、今日では債権譲渡は、資金調達のための担保機能に期待がある。債権譲渡特例法、特債法、資産流動化法など新たな金融商品を開発する受け皿として注目されている。公共事業における民間資金活用(PFI)においても期待されます。
○第10回
債権の担保制度。債権担保の最もポピュラーな保証債務、連帯保証、継続保証さらに連載債務を学習します。多数の債務者を予定することで債権担保の効用をいかに高めているかを見ていきます。
○第11回
債権の消滅。契約関係が正常に推移して終了する要件、「弁済」({「給付」+債権者の満足}=「履行」に債権者の協力行為が加わる)を学習します。
○第12回
契約法総則。契約自由の原則と現代の変容を概説します。とくに、規制緩和時代の民事法の動向について。そして、契約成立に至る申込みと承諾関係、とくに郵便事故の場合の契約の効力・当事者のリスクを学習します。
○第13回
契約の成立。申込み以前の準備交渉過程の問題を考えます。突然契約交渉が打ち切られたが、すでに費用がかかったなど、期待を裏切ったことによる損害の処理です。
○第14回
契約の効力。とくに売買契約を想定した効力を扱います。双務・有償契約の概念です。これら契約概念の定型的処理(同時履行の抗弁、危険負担)を学習します。
○第15回
契約の解除。解除の意義は、債務から解放され新たな契約交渉に臨めることと、契約解消過程における清算の出発点になることです。後者は、契約解除後の返還義務の範囲が問題となります。
(※続きあり)○第16回
契約各論。贈与。日本の贈与は、家族の扶養・相続に関係することが多い。欧米に多く見られる慈善事業への寄附としての贈与とは異なった点があります。
○第17回
売買。予約・買戻し等債権担保制度、売主に特有の義務である「担保責任」を学習します。近年のこの分野の特別法として、住宅品質確保法も扱います。
○第18回
売買。売買に関する国際動向、すなわち国連売買条約、各国の立法改正状況を見、日本の債権法の問題点を考えます。
○第19回
売買。消費者法。今日、現実の契約は、二当事者から複数当事者関係が増えています。たとえば、クレジットカードで買い物をしたとき、販売者と購入者のほかに代金を立て替えたクレジット会社が登場します。この現実の契約に則した解決方法を見ていきます。
○第20回
売買。近年の消費者法。規制緩和の時代では、事業法による事前規制を中心とする消費者行政から、結果責任を司法裁判で問う消費者私法に、消費者法の比重は移行しつつある。特定商取引法、消費者契約法、金融商品販売法を見ていきます。
○第21回
賃貸借・借地作家法。民法は、明治末の地主層の利害を反映し、賃借人に極端に不利な制度になっています。しかし、その後は都市事業者の土地賃借権の保護(対抗要件・存続期間)を契機に、借家人の保護(更新拒否の正当事由)、権利譲渡による借地権の強化等借地法、借家法の特別法の展開が注目されます。
○第22回
借地借家法。20世紀末90年代に入って、不動産(住宅等)の供給促進のため規制緩和が要請される。そこで、今度は所有権者=賃貸人(及びデベロッパー)に有利な制度への展開が見られます。具体的には、定期借地権、定期借家権の導入です。
○第23回
請負・委任・雇用・寄託。労務提供型契約について、現代の問題を見ていきます。
○第24回
不当利得法。契約の清算過程における返還請求、他人物を利用した場合の損失を含めた返還請求など、法的紛争の締めくくりの制度です。
○第25回
不法行為法。交通事故等で他人の権利利益を侵害して損害を与えた場合の損害賠償責任を見ていきます。まず民法の不法行為に関する原則・過失責任の原則と、被害者にとっては厳しい責任成立要件見ていきます。
○第26回
不法行為法。事故の多発、環境破壊等社会的危険の増大、被害者損害の拡大が無視できない現代では、民法の要件を緩和し、加害者の責任を成立しやすい方向に変更されています。判例等の解釈、特別法の動向を見ていきます。
○第27回
不法行為法。規制緩和政策は、不法行為法にも影響を与えています。その典型が、製品の拡大責任(欠陥テレビからの出火で家が焼失)をメーカーに負わせる製造物責任法です。また、自動車の人身事故に関する自動車損害賠償保障法も見ていきます。
○第28回
不法行為法。27回の続き。
○第29回
家族法。債権法を離れますが、時間の許す限り家族法も概説します。まず、家族の社会的機能の変遷と家族法の変容を概観します。家族法は、財産法と違い、歴史と文化によって随分異なります。歴史的には大家族から核家族への変遷、文化的には日本と欧米キリスト教国との宗教的な相違から見ていきます。そして、婚姻法(結婚・離婚)をこの観点から整理してみていきます。
 次に、親子法(認知、親権、養子)を今日の児童重視の観点で見直します。さらに、相続法については、遺産分割の過程を概観します。
○第30回
 総復習。
○第31回
定期試験
最初の授業で配付された冊子の該当頁を毎回必ず予習しておくこと。授業が済んだら、ノートを整理し、冊子の復習問題に取り組む。
授業の運営方法  とくにありません。
備考
学生が達成すべき到達目標 ① 民法Ⅰの基礎に基づいて、契約法をさらに深く理解する。
② 契約法、契約違反が生じたときの紛争解決の制度の全体像を理解する。
③ 近年の国際取引に登場した契約のルール、各国の改正の動向を踏まえ、日本の債権法、契約法改正動向 を理解する。
④ 特徴的な契約関係とその法制度の現状を理解する。消費者法、借地借家法、金融法(債権回収法)。
⑤ 不法行為法(事故に際しての損害賠償法)の全体像と最近の特別法の動向を理解する。
⑥ 以上に関する、キーワード(約80)を理解する。
評価方法 評価の割合 評価の実施方法と注意点
試験 80 第31回に定期試験を実施します。
小テスト
レポート
成果発表
作品
その他 20 出席とともに、最終回に自筆のノートを提出する。
合計 100