NBU日本文理大学

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対 談

これからの医療のキーパーソンは
人間力と専門力を兼ね備えた「医療産業人」

治療から“健康寿命延伸”に寄与する効率的医療への転換や、デジタル産業革命など高度化する医療に対応したロジスティクスや情報システムなど、時代のニーズに応え、進化を続ける株式会社アステム。そして、2023年4月、次世代の医療フィールドを担う「医療産業人」を育成するべく「保健医療学部(仮称)」の設置に向け、構想するNBU日本文理大学。未来の医療現場にとって必要な人材や目指すビジョン、大学と企業が連携してできることなどについて語ります。

株式会社アステム
代表取締役社長
吉村 次生 氏
YOSHIMURA TSUGUO

大分県大分市出身。慶應義塾大学法学部卒業、慶応義塾大学大学院経営管理研究科修士課程(MBA)修了。第一製薬株式会社(現第一三共)入社後、1983年吉村薬品株式会社(現アステム)入社。専務営業本部長、副社長などを経て、2017年に社長就任。フォレストホールディングス副社長を兼務。

学校法人 文理学園
日本文理大学 学長
橋本 堅次郎
HASHIMOTO KENJIROU

大分県日田市出身。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。企業に入社後は営業、販売促進、人事、総務、子会社再建、大型商業ビル開発など幅広く担当。2011年より日本文理大学に経営経済学部の教授として着任し、経営経済学部長、理事・副学長を歴任後、2021年4月学長に就任。専門は、流通経営やマーケティング、マネジメント論。

「自分たちに何ができるのか」
アクションを起こして課題解決を。

橋本:アステムは、立ち止まることなく進化を続け、未来の医療、健康に寄与する事業構想を次々にカタチにしていますね。変化を恐れずに変化をつくる会社だと思います。

吉村:これからは、企業が社会課題解決のフェーズに入っていかないといけないと思っています。アステムが創業以来大切にしている価値観は「人々の健康に関わる<不>の打開」。健康を損なうという意味だけではなく不安や不満、不快等も含めてマイナスの部分をゼロに戻すのが仕事です。コロナ禍で、社会全体で医療に関わる不安や不快などの課題がたくさん見つかりました。そんな中で会社の存在意義を見つめ直し、社員一人ひとりが仕事を通じて社会にどうつながり、役に立っているのかを実感できる会社でありたいという原点に立ち返っています。アステムの事業はソーシャルビジネスで、社員たちは医療的な問題の解決に対して欠くことのできないエッセンシャルワーカーなのだと改めて感じました。

橋本:NBUもアステムと同じく、教育理念を大切にしています。「産学一致」「社会・地域貢献」「人間力の育成」という3つの柱を掲げ、大分全域をキャンパスとして地域課題の解決に取り組んでいます。この課題解決のためにはアクションを起こすことが何より重要。学生たちは、積極的に地域の皆さんと交流し、地域で鍛えられます。また、学生だけでなく教員も意識が変わったことで、大学教育のあり方も大きく進化したと感じています。

吉村:「人間力」と「専門力」はこれからの時代のキーワード。私が考える優れた人材はこの2つを兼ね備えていると思います。チーム医療や他職種連携が主流となりつつある医療の現場において、専門性を持ったプロフェッショナルが一丸となり、コミュニケーションを取りながら協力をしていかないと真の課題解決はできません。

幅広い教養と豊かな経験で
広い視野を身につける。

橋本:NBUが2023年4月に4年制の保健医療学部(仮称)設置を構想するに当たり、まず専門学校との違いは何かと考えました。国家資格を取るのは当たり前ですが、プラスαの人間力やコミュニケーション能力、幅広い教養や地域における豊かな経験を重ねることが、未来の日本を担う医療従事者には必要だと思います。

吉村:ドクターが診療する前に、臨床検査技師や診療放射線技師が診断する。この診断がつかなければ診療はできません。そういった意味でも画像診断や検体検査は、治療に入る前の一番大事な部分です。次に、治療方針が決まりオペをするのに、高度化・複雑化した医療機器を安全に、効果的に使えるようガイドするのが臨床工学技士です。これからの医療で鍵になってくるでしょうね。ここで重要になるのが、「木を見て森を見ず」にならないこと。自分の専門=木ばかり見るのではなく、専門職の人が自分の職業についてきちんと極めて、視野を広げるために医療全体=森を見ることができれば、新しい発見があるのではないでしょうか。病院経営全体に対しても興味を持つ、志のある専門職が専門のリーダーと経営マネジメントを兼ねる…そんな時代が必ず訪れると思います。

橋本:大学からは大学で学んだことを企業に還元し、企業からは大学でさまざまなことを学んだ優秀な人材を取り入れることで大学と企業の関係性が成り立っていると思います。ですから私は「視点」と、「視野」を持つ人材を育てたい。つまり、ある時は高いところから、またある所は広い部分で見ることができる、「ズームアウトできる人材」ですね。

高いモチベーションを持ち、
未来を支える“医療産業人”へ。

吉村:初めから病院だけではなく行政や企業に就職することを想定しながらさまざまなカリキュラムを組んでいくことで学生たちは医療に関する視野が広がると思います。ぜひそういった視点を大切にして社会課題や地域課題の解決にチャレンジして欲しいですね。

橋本:ここ何年かで学生のモチベーションは高まっています。高校生の頃からボランティアやSDGsという視点を意識しているので地域課題や社会貢献ということに対してすごく感度が高い。その辺りを伸ばしつつ、これからは、もっと幅広く産業分野にも人材を輩出できる「医療産業人」を育成したいですね。

吉村:「医療産業人」というのは面白い発想ですね。行政や企業にも優れた人材を送り出せる学部であれば、その志に私たち企業がサポートできることもあります。大学と企業のコラボレーションも実現していきましょう。

橋本:新しい学部ではしっかりとした理念を掲げ、とにかくやってみて、何かを創り出していく。次世代の「医療産業人」を育成するうえで、これからの日本の医療を支える企業の皆さんとご一緒できる機会が生まれることは学生にとっても大きな刺激となります。病院などの医療機関はもちろん、行政や企業、研究所などにも人材を送り出すための新しいチャレンジがここから始まります。

KEY WORD

株式会社アステム・医療産業人・臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士・保健医療学部